こんにちは、「多重債務解決ガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「子どもが消費者金融から借金をしていることがわかった」
「子どもが借金を返済できなくなり、親に請求が来た」
「親が連帯保証人になっている場合はどうなるの?」
このように、子どもの借金について悩んでいる親御さんは少なくありません。
子どもが借金を返済できなくなると、親としては何とか助けてあげたいと思うものです。
しかし、法律上、親が子どもの借金を肩代わりする義務があるのでしょうか。
結論からいうと、子どもが借金をしても、原則として親に返済義務はありません。
ただし、親が保証人や連帯保証人になっている場合には、親自身にも返済義務が生じます。
また、子どもが未成年の場合や、借金を残して亡くなった場合などは、取り扱いが異なることがあります。
この記事では、子どもの借金を親が返済する義務の有無、保証人になっている場合の責任、貸金業者から請求された場合の対処法について司法書士の久我山左近がくわしく解説します。
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親が保証人になっていなければ、原則として返済する必要はありません。


1.子どもの借金を親が返済する義務はある?
原則として親に返済義務はない
日本の法律では、親子であっても、それぞれ独立した権利義務の主体として扱われます。
そのため、成人した子どもが消費者金融や銀行などから借金をした場合でも、親が当然に返済義務を負うわけではありません。
例えば、30歳の息子が消費者金融3社から合計200万円を借り入れ、返済できなくなったとします。
この場合、親が保証人になっていなければ、貸金業者から返済を求められても、原則として支払う必要はありません。
これは、次のような場合でも同様です。
- 子どもと親が同居している
- 子どもが無職で収入がない
- 子どもが借金を返済せず行方不明になった
- 子どもが自己破産した
- 貸金業者から親に返済を求める連絡があった
親子関係があるという理由だけで、親が子どもの借金を返済する義務は生じないのです。
親に返済を求める取り立ては違法になる?
貸金業法21条では、貸金業者による不当な取り立て行為が禁止されています。
その中には、法律上の返済義務がない人に対して、債務者に代わって返済するよう要求する行為も含まれています。
したがって、親が保証人などになっていないにもかかわらず、貸金業者が親に対して返済を要求することは、貸金業法に違反する可能性があります。
ただし、親が自発的に子どもの借金を肩代わりすること自体は禁止されていません。
重要なのは、親が法律上の返済義務を負っているかどうかです。
2.親が保証人になっている場合は返済義務がある
親が子どもの借金について保証人になっている場合は、事情が大きく異なります。
保証契約を締結すると、子どもが返済できなくなった場合に、親が返済義務を負うことになります。
ただし、保証人には「通常の保証人」と「連帯保証人」があり、それぞれ責任の内容が異なります。
通常の保証人とは?
通常の保証人には、民法上、一定の権利が認められています。
代表的なものが「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」です。
催告の抗弁権とは、債権者から返済を請求された場合に、まず主債務者である子どもに請求するよう求める権利です。
検索の抗弁権とは、子どもに返済できる財産があり、強制執行が容易であることを証明した場合に、まず子どもの財産から回収するよう求める権利です。
ただし、子どもが破産手続開始決定を受けた場合など、催告の抗弁権が認められないケースもあります。
連帯保証人とは
連帯保証人は、通常の保証人よりも重い責任を負います。
連帯保証人には、催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められていません。そのため、子どもが返済を滞納した場合、貸金業者は子どもに先に請求することなく、連帯保証人である親に返済を求めることができます。
例えば、子どもが銀行から300万円を借り、親が連帯保証人になっている場合を考えてみましょう。
子どもが返済できなくなり、期限の利益を失った場合、銀行は親に対して残債務の一括返済を請求することがあります。親が「まず子どもに請求してください」と主張しても、連帯保証人である以上、その理由だけで請求を拒むことはできません。
連帯保証人になるということは、子どもの借金について非常に重い責任を負うことを意味します。
3.親が知らない間に保証人にされていた場合は?
子どもが親に無断で保証人欄に署名したり、親の印鑑を使用したりするケースも考えられます。
このような場合、親が当然に保証人としての責任を負うわけではありません。
民法446条2項では、保証契約は書面でしなければ効力を生じないと定められています。一定の電子的方法による契約も認められています。しかし、書面が存在していても、親本人が保証契約を締結していなければ、原則として保証契約は成立しません。
ただし、子どもに代理権を与えていた場合や、表見代理が成立する場合などは、別途検討が必要です。
身に覚えのない保証債務を請求された場合は、安易に返済に応じず、契約書などを確認することが重要です。
4.子どもが自己破産すると親の返済義務はどうなる?
子どもが借金を返済できなくなった場合、自己破産を検討することがあります。
自己破産によって免責許可決定が確定すれば、子ども本人は原則として借金の返済義務を免れます。
しかし、子どもが自己破産しても、保証人である親の返済義務はなくなりません。
これは、破産法253条2項によって、免責許可決定が保証人などに対する債権者の権利に影響しないと定められているためです。
例えば、子どもに500万円の借金があり、親が連帯保証人になっている場合、子どもが自己破産しても、貸金業者は親に残債務の返済を請求できます。親にも返済能力がない場合は、親自身が債務整理を検討する必要があります。
親が利用できる債務整理の方法
親が保証債務を返済できない場合には、主に次の方法が考えられます。
- 任意整理: 債権者と交渉し、将来利息のカットや分割返済などを目指す方法
- 個人再生: 裁判所の手続きによって借金を一定の基準で減額し、原則3年間で返済する方法
- 自己破産: 裁判所に申し立て、免責によって原則として借金の返済義務を免れる方法
どの方法が適しているかは、親の収入や財産、保証債務の金額などによって異なります。
5.未成年の子どもが借金をした場合は?
18歳未満の未成年者が借金をした場合には、成年者とは異なるルールが適用されます。
民法5条では、未成年者が法律行為をする場合、原則として法定代理人の同意が必要とされています。
そのため、未成年の子どもが親権者の同意を得ずに借金の契約をした場合、原則として契約を取り消すことができます。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- 親権者が借金の契約に同意していた場合
- 未成年者が詐術を用いて成年者であると信じさせた場合
- 法定代理人から処分を許された財産の範囲内で行った行為の場合
また、親が借金の契約に同意したからといって、当然に親が保証人になるわけではありません。
親自身が保証契約を締結しているかどうかが重要です。
なお、2022年4月から成年年齢は18歳に引き下げられています。
したがって、18歳以上の子どもは、原則として親の同意がなくても借金の契約を締結できます。
6.子どもが亡くなった場合、親は借金を相続する?
子どもが借金を残して亡くなった場合、親が借金を相続する可能性があります。
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も原則として引き継がれます。
ただし、親が必ず相続人になるわけではありません。
例えば、亡くなった子どもに子や孫などの直系卑属がいる場合、原則として親は相続人になりません。
一方、子どもに直系卑属がおらず、親が相続人となる場合には、借金を相続する可能性があります。
相続放棄をすれば借金を引き継がずに済む
借金が多い場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることが考えられます。
相続放棄をすれば、原則として亡くなった子どもの借金を引き継ぐ必要はありません。
相続放棄の申述期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。
ただし、親自身が保証人になっていた場合には、相続放棄をしても、親自身の保証債務はなくなりません。
7.子どもの借金を親が肩代わりする場合の注意点
親に返済義務がなくても、子どもを助けるために借金を肩代わりすることは可能です。
しかし、安易な肩代わりには注意が必要です。
借金を繰り返す可能性がある
親が借金を返済しても、子どもの借金の原因が解決していなければ、再び借り入れを繰り返す可能性があります。
特に、生活費の不足やギャンブル、浪費などが原因の場合は、家計管理や生活環境の見直しが必要です。
親自身の生活が苦しくなる可能性がある
子どもの借金を肩代わりするために、親が新たに借金をすることは慎重に判断する必要があります。
親の老後資金や生活費を取り崩してしまうと、親自身が経済的に困窮するおそれがあります。
子どもを助けたいという気持ちは大切ですが、親自身の生活を守ることも重要です。
借金の時効を確認する
長期間返済していない借金については、消滅時効が成立している可能性があります。
現在の民法では、一般に、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、権利を行使しなかった場合などに消滅時効が完成します。
ただし、裁判上の請求や債務の承認などによって、時効の完成が猶予されたり、更新されたりすることがあります。
また、時効が完成していても、原則として時効を援用する必要があります。
古い借金については、親が肩代わりする前に、時効の成立可能性を確認しましょう。
8.子どもの借金について親が請求された場合の対処法
子どもの借金について貸金業者から親に請求が来た場合は、次のような対応が重要です。
① 保証人になっているか確認する
まず、親自身が保証契約を締結しているか確認しましょう。
保証人になっていなければ、原則として返済義務はありません。
② 借金の金額や契約内容を確認する
保証人になっている場合は、借入残高や利息、遅延損害金、保証の範囲などを確認します。
保証契約の内容によっては、保証限度額や保証の有効性が問題になる場合もあります。
③ 安易に支払いや返済の約束をしない
返済義務の有無が不明な段階で、安易に返済を約束することは避けましょう。
特に、消滅時効が問題になる場合には、債務の承認などによって法律上不利になる可能性があります。
④ 司法書士や弁護士に相談する
保証債務が高額で返済が難しい場合や、貸金業者から執拗な請求を受けている場合には、専門家への相談を検討しましょう。認定司法書士は、法令で定められた範囲内の簡裁訴訟代理等関係業務として、一定の債務整理や交渉を取り扱うことができます。
一方、自己破産や個人再生の申立代理は弁護士の業務であり、司法書士は裁判所提出書類の作成など、認められた範囲で支援することになります。
まとめ|子どもの借金は親が保証人でなければ原則として返済義務はない
子どもが借金をしても、親が当然に返済義務を負うわけではありません。
親子であっても法律上は別の人格であり、親が保証人などになっていなければ、原則として子どもの借金を返済する必要はありません。
ただし、親が連帯保証人になっている場合には、子どもが返済できなくなると、親に直接返済を請求される可能性があります。また、子どもが自己破産しても保証人の返済義務はなくならないため、注意が必要です。
子どもの借金を親が肩代わりする前に、まずは返済義務の有無や借金の状況を正確に確認しましょう。
子どもの借金問題は、親が無理をして肩代わりするのではなく、子ども本人の債務整理も含めて、根本的な解決方法を検討することが大切です。
借金の返済が難しい場合には、早めに司法書士や弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
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それでは、久我山左近でした。




